CSIRTのおすすめ本3選|立ち上げから事故対応・監視まで
「CSIRTを立ち上げるよう言われたけれど、何から決めればよいのか分からない」「インシデントが起きたとき、誰が・どこまで判断するのかが曖昧なまま」「アラートは出ているのに、それが本当に危険なのか見極められない」――CSIRT(Computer Security Incident Response Team:セキュリティ事故に対応する組織内チーム)に関わり始めると、こうした壁にぶつかる方は少なくありません。
CSIRTは「チームを作れば終わり」ではありません。体制や役割分担を決める立ち上げ、実際の事故に対処する対応、攻撃の兆候を見つける監視のそれぞれで必要な知識が異なり、どこでつまずいているかによって読むべき本も変わります。インターネット上の情報は断片的なので、本で一度、全体の流れを押さえておくと判断に迷いにくくなります。
この記事では、CSIRTの立ち上げ方、現場での事故対応、セキュリティ監視の設計という3つの段階に対応した本を1冊ずつ紹介します。
- CSIRTを学ぶのにおすすめの本3冊と、それぞれが向いている人
- 立ち上げ・事故対応・監視の段階別の選び方と比較表
- 刊行年が古い本を読むときの注意点
- あわせて確認したい公的な資料
結論:これからCSIRTを作る・担当になったなら「今からはじめるインシデントレスポンス」、マルウェア感染や内部不正など事故対応の現場感をつかむなら「実践CSIRT」、監視と検知の仕組みまで設計したいなら「実践 CSIRTプレイブック」がおすすめです。
にわとり頭です。CSIRTの本は「組織づくり」寄りの本と「技術・監視」寄りの本で中身が大きく違います。今回は、今の自分がどの段階にいるかで選べるように3冊を整理しました。
CSIRTのおすすめ本3選
CSIRTのどの段階を学びたいかで選べるよう、3冊を整理しました。
目的別の比較表
| 書籍(刊行年) | 向いている目的 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 今からはじめるインシデントレスポンス(2020年) | CSIRTの立ち上げ・体制づくり | インシデントの基本から、必要な人材、立ち上げの手順、運用事例までを扱う | 技術的な監視・分析の深掘りは少なめ |
| 実践CSIRT(2016年) | 事故対応の現場感をつかむ | リクルートグループのCSIRTメンバーが、マルウェア・Webサイトへの攻撃・内部不正への対処を解説 | 事例や脅威の情報は刊行当時のもの |
| 実践 CSIRTプレイブック(2018年) | セキュリティ監視と検知の設計 | シスコシステムズのCSIRTが培った監視・検知ロジック・ツール選定の考え方 | ログやクエリを扱うため、一定の技術知識があると読みやすい |
選定基準・確認範囲:本記事は、各書籍の出版社ページ・販売ページの書誌情報(目次・内容紹介・刊行年)をもとに、学べるテーマと対象読者を整理した選書ガイドです。価格・在庫・版は変わる場合があるため、購入前に販売ページでご確認ください。
今からはじめるインシデントレスポンス――事例で学ぶ組織を守るCSIRTの作り方
杉浦芳樹氏・萩原健太氏・北條孝佳氏・中西晶氏らによる、技術評論社の解説書です(2020年4月刊行)。インシデントとは何かという基本から、CSIRTの役割、政府が推奨する体制、外部組織との連携、求められる人材、立ち上げのステップ、運用事例までを順に扱っています。
この本が優れているのは、ITに十分な人員を割けない組織でも実行できるように、CSIRTを「どう作るか」に焦点を当てている点です。出版社の紹介でも「会社でCSIRTを担当することになった人」が対象として挙げられており、何から手をつけるべきかを順序立てて整理できます。
- 会社でCSIRTを担当することになった方
- 自社のインシデント対応体制に不安がある方
- 経営層や他部署にCSIRTの必要性を説明したい方
実践CSIRT 現場で使えるセキュリティ事故対応
リクルートテクノロジーズ(当時)のCSIRTメンバーが執筆した、日経BPの実践書です(2016年7月刊行、203ページ)。マルウェアを使った攻撃、Webサイトへの攻撃、内部不正という3つの代表的な事故について、現場でどう対処するかを解説しています。
この本の強みは、実際にCSIRTを運用しているメンバーの視点で書かれていることです。「攻撃をゼロにはできない前提で、被害をどう最小化し、事業の停止を防ぐか」という考え方が軸になっており、事故が起きたときの動き方を具体的にイメージできます。
※購入前に確認したい点
刊行から年数が経っているため、取り上げられている事例や攻撃の傾向は当時のものです。考え方の参考として読み、最新の脅威動向はJPCERT/CCなどの公的機関の情報で補いましょう。
- CSIRTメンバーとして事故対応の流れを具体的に知りたい方
- マルウェア感染・Web改ざん・内部不正への備えを考えたい方
- セキュリティ担当になったばかりで現場のイメージをつかみたい方
実践 CSIRTプレイブック ―セキュリティ監視とインシデント対応の基本計画
シスコシステムズのCSIRTが10年以上かけて培ったセキュリティ監視・インシデント対応・脅威分析の進め方をまとめた本です(Jeff Bollinger氏ほか著、谷崎朋子氏訳、オライリー・ジャパン、2018年5月刊行、249ページ)。
この本が優れているのは、「どのデータを集め、どんなロジックで検知し、それをどう運用に落とし込むか」というプレイブック(対応手順書)づくりまで踏み込んでいる点です。アラートが多すぎて本当に危険なものを見極められない、ツールを入れたものの活用できていない、という悩みに対して、データを起点に監視を組み立てる考え方が得られます。
※購入前に確認したい点
ログやクエリを使った検知ロジックの話が中心になるため、ネットワークやログ分析の基礎知識があると読みやすい本です。CSIRTの全体像から知りたい方は、先に1冊目を読むのがおすすめです。
- SOC(セキュリティ監視センター)やCSIRTで監視を担当する方
- 検知ルールや対応手順書(プレイブック)を整備したい方
- 導入済みのセキュリティツールをもっと活用したい方
CSIRTを学ぶときにあわせて確認したい資料
書籍で全体像をつかんだら、無料で公開されている公的な資料もあわせて確認しましょう。
- JPCERT/CC「CSIRTマテリアル」:CSIRTの構想・構築・運用の3つのフェーズに分けて、組織に合った体制を考えるための資料です。
- 日本シーサート協議会:国内のCSIRTが加盟する協議会です。加盟組織の情報や活動内容から、他社の取り組みを知る手がかりになります。
- NIST SP 800-61 Rev.3:米国NISTのインシデント対応ガイドで、2025年4月にRev.3が公開されました。CSF 2.0(サイバーセキュリティフレームワーク)に沿って、インシデント対応をリスク管理全体の中に位置づけています(NIST公式ページ、英語)。
CSIRTのおすすめ本3選 まとめ
迷ったら、今の自分の段階に合わせて選びましょう。
- これから立ち上げる:「今からはじめるインシデントレスポンス」で体制づくりの手順を押さえる
- 事故対応を強くしたい:「実践CSIRT」で現場での対処の考え方を学ぶ
- 監視・検知を設計したい:「実践 CSIRTプレイブック」でデータを起点にした監視の組み立て方を学ぶ
インシデント発生後の調査・分析をさらに深めたい方は、インシデントレスポンスのおすすめ本もあわせてご覧ください。CSIRTやセキュリティ担当としての経験をキャリアに活かしたい方には、社内SEのセキュリティ担当へ転職する方法の記事で、評価される経験や求人の傾向を解説しています。
取引先からセキュリティ対策の整備を求められている中小企業の方は、SCS評価制度(★3)の解説記事もあわせてご覧ください。★3では、セキュリティ担当の体制やインシデント対応手順の整備が求められ、CSIRTづくりの第一歩にもなります。無料の★3セルフチェックと対応テンプレート集も用意しています。
本の版・在庫は購入前に販売ページでご確認ください。CSIRTの学び方についてのご質問は、お問い合わせページからお寄せください。
















