「在庫管理システムの開発案件に入ることになったが、在庫管理の業務がよく分からない」「ユーザーの言う『安全在庫』『引当』といった用語が理解できず、要件の打ち合わせについていけない」「販売管理や生産管理とどう連携させればよいか分からない」――在庫管理システムに関わるSEの多くが、こうした悩みを抱えています。

在庫管理は、在庫の数量を正確に把握するだけでなく、過剰在庫や欠品を防ぎ、適正な在庫を維持することが目的です。システムを設計するには、在庫管理の業務知識と、周辺システムとの連携やデータの持ち方の両方を理解しておく必要があります。

この記事では、SEが在庫管理の業務とシステムを理解するのに役立つ本を目的別に3冊紹介します。

この記事でわかること
  • 在庫管理を学ぶのにおすすめの本3冊と、それぞれが向いている人
  • システム・業務知識・基本という目的別の選び方
  • 刊行年が古い本を読むときの注意点
  • あわせて学びたい生産管理・要件定義の関連記事

結論:在庫管理システムの機能や他システムとの連携、AIやIoTなどの最新技術まで学ぶなら「エンジニアが学ぶ在庫管理システムの『知識』と『技術』」、業態・業種ごとの業務知識とデータモデリングを学ぶなら「SEがはじめて学ぶ在庫管理」、在庫管理そのものの基本を図解でつかむなら「図解入門ビジネス 最新 在庫管理の基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]」がおすすめです。

にわとり頭

にわとり頭です。在庫管理システムは、業務の言葉が分かると要件の打ち合わせが一気にスムーズになります。今回は、システムと業務の両面から学べる3冊を選びました。

在庫管理のおすすめ本3選

学びたい内容から選べるよう、3冊を目的別に整理しました。

目的別の比較表

書籍(刊行年)向いている目的特徴注意点
エンジニアが学ぶ在庫管理システムの「知識」と「技術」(2023年)在庫管理システムの機能と最新技術を学ぶシステム導入の進め方、機能、需要予測、他システムとの連携、AI・IoTなどの最新動向を解説特定のパッケージ製品の操作解説ではない
SEがはじめて学ぶ在庫管理(2009年)業態・業種別の業務知識とデータモデリングを学ぶ汎用的な業務知識に加え、業態・業種別のシステム構築事例、周辺システムとの連携、データモデリングを解説2009年刊行。技術的な内容は刊行当時のもの
図解入門ビジネス 最新 在庫管理の基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版](2019年)在庫管理の基本を図解でつかむ在庫管理の導入に必要な知識、安全在庫の計算方法、需要変動への対応、ロジスティクスやSCMを解説Kindle版は固定レイアウト

選定基準・確認範囲:本記事は、各書籍の出版社ページ・販売ページの書誌情報(目次・内容紹介・刊行年)をもとに、学べるテーマと対象読者を整理した選書ガイドです。価格・在庫・版は変わる場合があるため、購入前に販売ページでご確認ください。

エンジニアが学ぶ在庫管理システムの「知識」と「技術」

GeNEE DX/ITソリューション事業部による、翔泳社の解説書です(2023年2月刊行、332ページ)。エンジニアが押さえておくべき在庫管理システムの基本から、適正在庫を実現するための需要予測の手法や管理方式の仕組み、各種システムとの連携方法までを解説しています。

この本が優れているのは、在庫管理システムの導入の進め方や機能の全体像に加えて、画像認識によるAI技術やIoT重量計など、在庫管理システムと連動する最新のテクノロジー動向まで一緒に学べる点です。これから在庫管理システムの開発や導入に関わるエンジニアが、システムの全体像をつかむ1冊目に向いています。

こんな人におすすめ
  • これから在庫管理システムの開発や導入に関わるエンジニア
  • 在庫管理システムと他システムの連携を理解したい方
  • AIやIoTなど在庫管理の最新技術を知りたい方

SEがはじめて学ぶ在庫管理

ITC総合研究所による、日本実業出版社の書籍です(2009年9月刊行、280ページ)。在庫の最適化を実現するシステムづくりをSEの役割と位置づけ、業態や業種に関係なく使える在庫管理の業務知識を説明したうえで、製造・卸売・小売といった業態や、食品・アパレル・医薬といった業種ごとのシステム構築事例を紹介しています。

この本の強みは、販売管理、購買管理、生産管理、物流管理、会計、原価計算といった周辺システムとの連携や、システム設計に欠かせないデータモデリングまで、業務知識をシステムづくりと結びつけて理解できることです。業種によって在庫管理の目的が異なることを知っておくと、要件の打ち合わせでの質問の精度が上がります。

※購入前に確認したい点

2009年刊行のため、クラウドサービスやAIの活用など、刊行後の技術動向は扱っていません。業務知識とシステム設計の考え方を学ぶ目的で読み、最新技術は1冊目の本などで補いましょう。

こんな人におすすめ
  • 初めて在庫管理システムに関わるSE
  • 業種・業態ごとの在庫管理の違いを知りたい方
  • 周辺システムとの連携やデータモデリングを学びたい方

図解入門ビジネス 最新 在庫管理の基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]

湯浅和夫氏・内田明美子氏・芝田稔子氏による、秀和システムの入門書です(第3版、2019年4月刊行、218ページ)。在庫管理の導入に必要な知識や、安全在庫の計算方法、需要の変動に対応する方法などを、図解を交えてわかりやすくまとめています。

この本が優れているのは、ロジスティクスやサプライチェーン・マネジメントなど、在庫削減のための実践的な取り組みまで含めて、在庫管理という業務そのものの考え方を理解できる点です。システムの仕様を考える前に、ユーザーが在庫管理で何を目指しているのかをつかみたいSEに向いています。

こんな人におすすめ
  • 在庫管理の業務を基本から理解したいSE
  • 安全在庫や需要変動への対応の考え方を知りたい方
  • ユーザーと同じ言葉で要件を話せるようになりたい方

在庫管理のおすすめ本3選 まとめ

迷ったら、次の順番・目的で選ぶのがおすすめです。

  • システムの全体像を:「エンジニアが学ぶ在庫管理システムの『知識』と『技術』」で、機能・連携・最新技術を押さえる
  • 業務知識を深める:「SEがはじめて学ぶ在庫管理」で、業態・業種ごとの違いとデータモデリングを学ぶ
  • 業務の基本を固める:「最新 在庫管理の基本と仕組みがよ~くわかる本」で、在庫管理の考え方をつかむ

在庫管理と密接に関わる業務については生産管理のおすすめ本で紹介しています。業務知識を要件に落とし込む方法は要件定義のおすすめ本もあわせてご覧ください。

本の版・在庫は購入前に販売ページでご確認ください。在庫管理の学び方についてのご質問は、お問い合わせページからお寄せください。