「要件定義が終わり設計書を書くことになったが、何をどこまで書けばよいか分からない」「画面は作れても、性能やエラー処理まで考えた設計ができていない」「同時更新でデータが不整合になるなど、リリース後にトラブルが起きてしまった」――システム設計に関わり始めたエンジニアの多くが、こうした悩みを抱えています。

システム設計が不十分なまま実装に進むと、必要な機能の漏れや性能不足が後から見つかり、大きな手戻りにつながります。アプリケーションとインフラの両面から設計の全体像をつかみ、性能・エラー制御・排他制御といったトラブルの起きやすいポイントを押さえておくことが大切です。

この記事では、システム設計の全体像から、トラブルを防ぐための設計のポイントまでを学べる本を目的別に3冊紹介します。

この記事でわかること
  • システム設計を学ぶのにおすすめの本3冊と、それぞれが向いている人
  • 全体像・方式設計・エラー制御と排他制御という目的別の選び方
  • システム設計を学ぶときの読む順番
  • あわせて学びたい要件定義・良いコードの関連記事

結論:アプリケーション設計とインフラ設計の全体像をつかむなら「図解即戦力 システム設計のセオリーと実践方法がこれ1冊でしっかりわかる教科書」、画面設計やDB性能など方式設計の勘所を学ぶなら「図解でなっとく!トラブル知らずのシステム設計」、エラー制御と排他制御を深く理解したいなら同シリーズの「エラー制御・排他制御編」がおすすめです。

にわとり頭

にわとり頭です。設計のトラブルは、性能や同時更新など「画面からは見えない部分」で起きがちです。今回は、全体像と、トラブルを防ぐポイントを学べる3冊を選びました。

システム設計のおすすめ本3選

学びたい内容から選べるよう、3冊を目的別に整理しました。

目的別の比較表

書籍(刊行年)向いている目的特徴注意点
図解即戦力 システム設計の教科書(2023年)設計の全体像をつかむシステム設計をアプリケーション設計とインフラ設計に分け、設計内容と実践のポイント、設計書の活用方法を解説Kindle版は固定レイアウト
図解でなっとく!トラブル知らずのシステム設計(2017年)方式設計の勘所を学ぶ画面設計とDB性能を中心に、非機能要件を実現する方式設計のポイントをマンガと図解で解説Kindle版は固定レイアウト。具体的な製品の情報は刊行当時のもの
トラブル知らずのシステム設計 エラー制御・排他制御編(2018年)エラー制御と排他制御を深めるエラーチェックの設計と利用者への案内、行ロック・楽観ロック・悲観ロック、オンラインとバッチの共存を解説前作とあわせて読むと理解しやすい

選定基準・確認範囲:本記事は、各書籍の出版社ページ・販売ページの書誌情報(目次・内容紹介・刊行年)をもとに、学べるテーマと対象読者を整理した選書ガイドです。価格・在庫・版は変わる場合があるため、購入前に販売ページでご確認ください。

図解即戦力 システム設計のセオリーと実践方法がこれ1冊でしっかりわかる教科書

石黒直樹氏による、技術評論社の入門書です(2023年10月刊行)。システム開発の上流工程の一つであるシステム設計に焦点を当て、システム設計をアプリケーション設計とインフラ設計の2つに分類したうえで、それぞれの設計内容と実践のポイントや注意点を解説しています。

この本が優れているのは、アプリケーションとインフラの両方の設計を1冊で見渡せる点です。関係者間で共通の認識を持って開発を進めるための考え方や、設計書をメンテナンスに活用する方法まで扱っているため、体系的にシステム設計を学びたい方や、設計を学び直したいエンジニアに向いています。

こんな人におすすめ
  • システム設計の全体像を体系的に学びたい方
  • アプリケーションとインフラの両方の設計を見渡したい方
  • 設計書の書き方や活用方法を知りたいエンジニア

図解でなっとく!トラブル知らずのシステム設計

野村総合研究所とエアーダイブによる、日経BPの入門書です(2017年10月刊行、274ページ)。新人SEやアプリケーションエンジニアを主な読者に想定し、画面設計とDB性能を中心に、方式設計(非機能要件を実現する基盤の設計)のポイントをマンガと図解で解説しています。

この本の強みは、アプリケーションエンジニアが方式設計を知らないことで起こる「性能が低い」「使いづらい」といった問題を、マンガと図解で具体的にイメージできることです。抽象的になりがちなシステム設計を視覚的に理解できるため、新人SEや後輩への教え方に悩む先輩エンジニアにも向いています。

こんな人におすすめ
  • 方式設計の考え方を身につけたい新人SEやアプリケーションエンジニア
  • 性能を意識した画面設計・DB設計を学びたい方
  • 後輩に設計を教える立場の方

図解でなっとく!トラブル知らずのシステム設計 エラー制御・排他制御編

前作『トラブル知らずのシステム設計』の第2弾にあたる、野村総合研究所とエアーダイブによる日経BPの入門書です(2018年3月刊行、330ページ)。システム設計で誰もが頭を悩ます「エラー制御」と「排他制御」に絞って解説しています。

この本が優れているのは、エラーを「いつ・どこで・どのように」チェックし、発生後に利用者へどう案内するかという設計の考え方から、DBの行ロック、楽観ロック、悲観ロック、オンライン処理とバッチ処理の共存で起こる問題までを、マンガと図解で一つひとつ確認できる点です。同時更新によるデータ不整合など、リリース後のトラブルを防ぎたい方に向いています。

こんな人におすすめ
  • エラー処理の設計に自信がないエンジニア
  • 排他制御の考え方を基礎から理解したい方
  • 同時更新などによるトラブルを未然に防ぎたい方

システム設計のおすすめ本3選 まとめ

迷ったら、次の順番・目的で選ぶのがおすすめです。

  • まず全体像を:「図解即戦力 システム設計の教科書」で、アプリケーションとインフラの設計を見渡す
  • 方式設計を学ぶ:「トラブル知らずのシステム設計」で、性能を意識した設計の勘所をつかむ
  • トラブルを防ぐ:「エラー制御・排他制御編」で、エラー処理と同時更新の設計を深める

設計の前工程は要件定義のおすすめ本で紹介しています。設計をコードに落とし込む段階では良いコードの書き方を学ぶおすすめ本、データベースの設計や性能はPostgreSQLのおすすめ本もあわせてご覧ください。

本の版・在庫は購入前に販売ページでご確認ください。システム設計の学び方についてのご質問は、お問い合わせページからお寄せください。