ゼロトラストのおすすめ本5選|基本から設計・導入まで
「VPNの限界やランサムウェア被害を受けて、ゼロトラストへの移行を検討するよう言われた」「製品の宣伝は多いけれど、ゼロトラストが結局何なのか説明できない」「どこから手をつけ、どの順番で導入すればよいか分からない」――ゼロトラスト(社内外を問わず、すべてのアクセスを信頼せずに検証するセキュリティの考え方)に取り組み始めると、こうした悩みにぶつかります。
ゼロトラストは特定の製品を入れれば完成するものではなく、ID管理・端末管理・ネットワーク・監視を組み合わせて段階的に実現していく考え方です。だからこそ、概念の理解、事例による全体像の把握、導入の進め方、設計の原理を、目的に応じて学ぶ必要があります。
この記事では、ゼロトラストの基本をつかむ本から、導入の実践書、設計の原典までを目的別に5冊紹介します。
- ゼロトラストを学ぶのにおすすめの本5冊と、それぞれが向いている人
- 概念・事例・導入・設計の目的別の選び方と比較表
- 経営層への説明と技術者の設計で読む本が違う理由
- NIST SP 800-207など、あわせて確認したい資料
結論:短時間で基本をつかむなら「ゼロトラスト Googleが選んだ最強のセキュリティー」、事例で全体像を知るなら日経クロステックの「ゼロトラスト大全」2冊、導入・展開の進め方を学ぶなら「ゼロトラストネットワーク[実践]入門」、設計の原理を深く理解したいなら「ゼロトラストネットワーク」がおすすめです。
にわとり頭です。ゼロトラストは言葉が先行しがちで、立場によって必要な知識が大きく違います。今回は「経営層に説明したい人」から「設計する人」まで、目的ごとに選べるよう5冊を整理しました。
ゼロトラストのおすすめ本5選
学びたい内容から選べるよう、5冊を目的別に整理しました。
目的別の比較表
| 書籍(刊行年) | 向いている目的 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ゼロトラスト Googleが選んだ最強のセキュリティー(2021年) | 基本を短時間でつかむ | 日経NETWORK編集長が、ビジネスパーソン向けに平易な言葉で解説 | 技術的な設計の深掘りは少なめ |
| すべてわかるゼロトラスト大全(2020年) | 事例で全体像を知る | ゼロトラストの基礎と、それを支えるIAM(ID・アクセス管理)などの技術、事例を解説 | Kindle版は固定レイアウト。製品情報は刊行当時のもの |
| ランサムウエアに負けない、ゼロトラスト大全(2023年) | ランサムウェア対策の観点で学ぶ | 境界型セキュリティーの限界と、ゼロトラストの技術・実践方法を豊富な事例で解説 | Kindle版は固定レイアウト |
| ゼロトラストネットワーク[実践]入門(2022年) | 導入・展開の進め方を学ぶ | 企業のシステム全体のセキュリティアーキテクチャと、ゼロトラストの導入・展開に重点を置いて解説 | セキュリティやインフラの基礎知識があると読みやすい |
| ゼロトラストネットワーク(2019年) | 設計の原理を深く理解する | デバイス・ユーザー・アプリケーション・トラフィックの信頼をどう確立するかを解説。BeyondCorpの事例も収録 | 技術的な内容が中心で、初学者には難しく感じる部分もある |
選定基準・確認範囲:本記事は、各書籍の出版社ページ・販売ページの書誌情報(目次・内容紹介・刊行年)をもとに、学べるテーマと対象読者を整理した選書ガイドです。価格・在庫・版は変わる場合があるため、購入前に販売ページでご確認ください。
ゼロトラスト Googleが選んだ最強のセキュリティー
日経NETWORKの編集長を務めた勝村幸博氏による、日経BPの入門書です(2021年6月刊行、198ページ)。グーグルが自社システムに全面採用したゼロトラストについて、なぜ注目されるのか、先進企業が採用する理由はどこにあるのかを、一般のビジネスパーソンでも理解できるよう平易な言葉で解説しています。
この本が優れているのは、ネットワークの専門知識がなくても、ゼロトラストの考え方と必要性を短時間でつかめる点です。経営層や他部署にゼロトラストの必要性を説明したい方、まず全体像を知りたい方の1冊目に向いています。
- ゼロトラストの基本を短時間でつかみたい方
- 経営層や他部署にゼロトラストを説明したい方
- 技術者ではないがセキュリティの方針に関わる方
すべてわかるゼロトラスト大全 さらばVPN・安全テレワークの切り札
日経クロステック編による、日経BPのムックです(2020年12月刊行、211ページ)。リモートワークの広がりを背景に、ゼロトラストの基礎と、それを支える「アイデンティティー&アクセス管理(IAM)」などの要素技術を、取り組む企業の事例とあわせて解説しています。
この本の強みは、ゼロトラストを構成する技術要素と、実際に企業がどう取り組んでいるかを一緒に把握できることです。VPNからの移行を検討している方が、自社で何から始めるべきかを考える材料になります。
※購入前に確認したい点
2020年刊行のため、紹介されている製品やサービスの情報は当時のものです。考え方と事例の参考にし、製品選定は最新の情報で行いましょう。
- VPNからゼロトラストへの移行を検討している方
- ゼロトラストを支える技術要素を整理したい方
- 他社の取り組み事例を知りたい方
ランサムウエアに負けない、ゼロトラスト大全
日経クロステック編による、日経BPのムックです(2023年11月刊行)。ランサムウェアなどの被害に遭った企業に共通するのが、ファイアウォールなど従来型の「境界型セキュリティー」に依存していた点だという問題意識から、ゼロトラストとはどのような技術で、どうすれば実践できるのかを豊富な事例に基づいて解説しています。
この本が優れているのは、ランサムウェアという身近で切実な脅威を起点に、ゼロトラストの必要性と実践方法を学べる点です。前作より新しい情報で、被害の実態から対策の方向性までを一続きで理解したい方に向いています。
- ランサムウェア対策としてゼロトラストを検討している方
- 境界型セキュリティーの限界を具体的に知りたい方
- 最新の事例をもとに対策を考えたい方
ゼロトラストネットワーク[実践]入門
野村総合研究所とNRIセキュアテクノロジーズによる、技術評論社の解説書です(2022年2月刊行)。セキュリティエンジニアだけでなく、CTOやシステム部門長、アーキテクト、インフラエンジニアなど、システム環境全体の構想や製品の選定・導入・展開を担当する方を対象に、ゼロトラストの導入と展開に重点を置いて解説しています。
この本の強みは、ゼロトラストが「ツールを導入して実現するものではない」ことを前提に、企業のシステム環境全体をどう設計し、どの順番で展開していくかを学べることです。実際に導入プロジェクトを進める立場の方にとって、計画づくりの土台になります。
- ゼロトラストの導入プロジェクトを担当する方
- システム全体のセキュリティアーキテクチャを考える立場の方
- 製品選定や展開計画に関わるインフラエンジニア
ゼロトラストネットワーク ―境界防御の限界を超えるためのセキュアなシステム設計
Evan Gilman氏・Doug Barth氏による、オライリー・ジャパンの解説書です(2019年10月刊行、283ページ)。ゼロトラストネットワークの概念と実装に必要な知識を、デバイス、ユーザー、アプリケーション、トラフィックの信頼をどのように確立していくかという観点で解説し、グーグルのゼロトラストモデル「BeyondCorp」を含む詳細なケーススタディも収録しています。
この本が優れているのは、製品や流行に左右されない「ゼロトラストの設計原理」を学べる点です。導入を技術的にリードする立場の方や、ゼロトラストを本質から理解したい方にとって、原典として手元に置いておきたい1冊です。
- ゼロトラストの設計を技術的にリードする方
- ゼロトラストの原理を本質から理解したいエンジニア
- BeyondCorpなどの先行事例を詳しく知りたい方
ゼロトラストを学ぶときにあわせて確認したい資料
ゼロトラストの考え方は、公的な文書でも整理されています。書籍とあわせて確認しておきましょう。
- NIST SP 800-207 Zero Trust Architecture:米国NISTが2020年に公開した、ゼロトラストアーキテクチャの考え方と構成要素を整理した文書です(英語)。多くの解説書の土台になっています。
- 利用中の製品・サービスの公式情報:IDaaSやEDR、SASEなどの具体的な機能は変化が速いため、導入時は各社の最新情報で確認しましょう。
ゼロトラストのおすすめ本5選 まとめ
迷ったら、次の順番・目的で選ぶのがおすすめです。
- まず基本を:「ゼロトラスト Googleが選んだ最強のセキュリティー」で考え方と必要性をつかむ
- 事例で全体像を:日経クロステックの「ゼロトラスト大全」2冊で、技術要素と企業の取り組みを知る
- 導入を進める:「ゼロトラストネットワーク[実践]入門」で、展開の進め方を学ぶ
- 設計を深める:「ゼロトラストネットワーク」で、信頼を確立する設計原理を理解する
ゼロトラストの中核となるID管理についてはOktaのおすすめ本、APIの認証・認可はAPIセキュリティのおすすめ本でも紹介しています。セキュリティの知識をキャリアに活かしたい方は、社内SEのセキュリティ担当へ転職する方法もあわせてご覧ください。
本の版・在庫は購入前に販売ページでご確認ください。ゼロトラストの学び方についてのご質問は、お問い合わせページからお寄せください。
















