「初めて要件定義を担当することになったが、何から手をつければよいか分からない」「業務の専門家ではないため、ユーザーへのヒアリングで何を聞けばよいか不安」「要件定義の後になって要件の漏れが見つかり、手戻りが発生した」――要件定義に関わるエンジニアの多くが、こうした悩みを抱えています。

要件定義は、システムで「何を実現するか」を決める工程で、ここでの抜け漏れは設計以降の工程で大きな手戻りやスケジュールの遅れにつながります。要件定義の進め方と成果物を理解したうえで、ヒアリングや合意形成のスキルを身につけることが、プロジェクトを成功させる土台になります。

この記事では、要件定義の基本から実践的なスキル、生成AIの活用までを学べる本を目的別に3冊紹介します。

この記事でわかること
  • 要件定義を学ぶのにおすすめの本3冊と、それぞれが向いている人
  • 全体像・実践スキル・生成AI活用という目的別の選び方
  • 要件定義を学ぶときの読む順番
  • あわせて学びたいシステム企画・システム設計の関連記事

結論:要件定義の全体像と各フェーズの作業を図解で学ぶなら「図解即戦力 要件定義のセオリーと実践方法がこれ1冊でしっかりわかる教科書」、演習を解きながら進め方とヒアリングスキルを身につけるなら「演習で身につく要件定義の実践テクニック」、生成AIを要件定義などの上流工程に取り入れたいなら「上流から下流まで生成AIが変革するシステム開発」がおすすめです。

にわとり頭

にわとり頭です。要件定義は、手順を知ることと、関係者から要件を引き出すスキルの両方が必要です。今回は、その両面に加えて生成AIの活用まで学べる3冊を選びました。

要件定義のおすすめ本3選

学びたい内容から選べるよう、3冊を目的別に整理しました。

目的別の比較表

書籍(刊行年)向いている目的特徴注意点
図解即戦力 要件定義の教科書(2020年)要件定義の全体像を図解で学ぶ下調べ・段取りから業務要求・システム要求の分析と定義、合意と承認までをフェーズごとに解説Kindle版は固定レイアウト
演習で身につく要件定義の実践テクニック(2017年)演習で進め方とスキルを身につける5つのステップの進め方、ヒアリング・ミーティング・プレゼンテーションのスキル、ツールを演習付きで解説演習に取り組む時間を確保して読む
上流から下流まで生成AIが変革するシステム開発(2024年)生成AIを上流工程に取り入れる問題の明確化から合意、実装、運用までの各ステップに、生成AIをどう組み込むかを解説要件定義の入門書ではない。基本を学んでから読む

選定基準・確認範囲:本記事は、各書籍の出版社ページ・販売ページの書誌情報(目次・内容紹介・刊行年)をもとに、学べるテーマと対象読者を整理した選書ガイドです。価格・在庫・版は変わる場合があるため、購入前に販売ページでご確認ください。

図解即戦力 要件定義のセオリーと実践方法がこれ1冊でしっかりわかる教科書

エディフィストラーニングの上村有子氏による、技術評論社の入門書です(2020年6月刊行、295ページ)。要件定義の基礎知識から、下調べ・段取り、業務要求の分析・定義、システム要求の分析・定義、合意と承認・維持までを、フェーズごとに豊富なイラストや表、具体例を用いて解説しています。

この本が優れているのは、「いつ、誰が、何を決めるのか」という要件定義の位置づけから、各フェーズで行う作業と成果物までを図解で一通り確認できる点です。初めて要件定義を担当するエンジニアが、全体像をつかむ1冊目に向いています。

こんな人におすすめ
  • 初めて要件定義を担当するエンジニア
  • 要件定義の全体像と各フェーズの作業を整理したい方
  • 要件定義の基本を体系的に学び直したい方

演習で身につく要件定義の実践テクニック

水田哲郎氏による、日経BPの実務書です(2017年11月刊行、197ページ)。要件定義の担当者が身につけておくべき知識・スキルを、「進め方」「コミュニケーションスキル」「ツール」の3つに分けて解説しています。進め方は、方針と実施計画の立案から、現行業務と問題の把握、問題分析と課題の設定、課題解決策の立案、システム要件の整理までの5つのステップで構成されています。

この本の強みは、架空の事例をもとにした演習問題を解きながら読み進めることで、ヒアリングやミーティング、プレゼンテーションといった実践的なスキルを身につけられることです。業務の専門家ではないエンジニアが、ユーザーから要件を引き出す力を鍛えるのに向いています。

こんな人におすすめ
  • ユーザーへのヒアリングに不安があるエンジニア
  • 要件定義の進め方を演習で身につけたい方
  • 要件定義をリードする立場のプロジェクトマネージャー

上流から下流まで生成AIが変革するシステム開発

酒匂寛氏の著、羽生田栄一氏の監修による、日経BPの解説書です(2024年9月刊行、290ページ)。ソフトウェアによる問題解決を「問題をはっきりさせる」「問題の解法に合意する」「解法を実装する」「実装した解法を運用する」というステップでとらえ、それぞれのステップが満たすべき性質を俯瞰しながら、生成AIをどう組み込めばよいかを解説しています。

この本が優れているのは、要件の整理や合意形成といった上流工程に生成AIを取り入れる方法を、開発プロセス全体の中で考えられる点です。要件定義の基本を身につけたうえで、生成AIを使って要件の洗い出しや整理を効率化したい方に向いています。

※購入前に確認したい点

要件定義の入門書ではなく、システム開発全体に生成AIを取り入れる方法を扱う本です。生成AIの機能は変化が速いため、紹介されている使い方は最新のツールに合わせて読み替えましょう。

こんな人におすすめ
  • 生成AIを要件定義などの上流工程に活用したい方
  • 開発プロセス全体の中で生成AIの使いどころを考えたい方
  • 要件定義の基本を学んだうえで次の一歩を探している方

要件定義のおすすめ本3選 まとめ

迷ったら、次の順番・目的で選ぶのがおすすめです。

  • まず全体像を:「図解即戦力 要件定義の教科書」で、各フェーズの作業と成果物を押さえる
  • 実践スキルを磨く:「演習で身につく要件定義の実践テクニック」で、進め方とヒアリングを身につける
  • 生成AIを取り入れる:「上流から下流まで生成AIが変革するシステム開発」で、AIの使いどころを考える

要件定義の前工程はシステム企画のおすすめ本、次の工程はシステム設計のおすすめ本で紹介しています。業務知識を深めたい方は、在庫管理や生産管理のおすすめ本もあわせてご覧ください。

本の版・在庫は購入前に販売ページでご確認ください。要件定義の学び方についてのご質問は、お問い合わせページからお寄せください。